社員のファミリービルディングに貢献― 双日労働組合が語るeスポーツの力【インタビュー】
総合商社の双日と双日労働組合は、2024年8月22日に社員向けイベント「双日ファミリーデー」を開催しました。会場では、双日の100%子会社であるGRITzによるeスポーツ大会も行われました。双日はeスポーツをどう捉え、どのような可能性を見出しているのか? 双日労働組合の脇田美紀氏と内田智之氏にうかがいました。
社員向けイベントでeスポーツイベントを実施
――まずは簡単な自己紹介をお願いします。
脇田美紀氏(以下、脇田) 双日労働組合委員長の脇田美紀と申します。2014年に双日に入社し、機械部門 企画業務室を経て自動車本部の営業に移り、ロシアの案件やフィリピンの案件の主管業務を務めました。
そこから縁あって双日とは別組織となる双日労働組合へ移り、執行委員を経て2022年から専従となりました。
内田智之氏(以下、内田) 双日労働組合書記長の内田智之と申します。2016年に双日に入社し、主計部 グループ会計課、中国トレーニー、営業経理部(エネルギー本部、化学本部)エネルギー本部、などを務め、2023年7月から組合の専従となりました。
――双日労働組合が、双日においてどのような役割を果たしているのかを教えてください。
脇田 まず、双日はニチメンと日商岩井が統合する形で2004年に設立された総合商社です。自動車、航空・社会インフラ、エネルギー・ヘルスケア、金属・資源・リサイクル、化学、生活産業・アグリビジネス、リテール・コンシューマーサービスという7つの本部体制を有しています。
双日労働組合の運営は組合員の皆様の組合費で成り立っており、組合員の労働環境をよりよいものにするために双日と日々対話を重ねています。
双日労働組合は双日と協定書を結んでいるので、双日が人事制度に関する変更を行いたいときは組合の許可が必須となります。
――ありがとうございます。それでは、本題となる「双日ファミリーデー」の話に移りたいと思います。双日は、こうした社員向けファミリーイベントのようなものを定期的に開催しているのでしょうか。
脇田 双日は2024年で発足20年を迎えましたが、「ファミリーデー」は先月(2024年8月22日)の開催が4回目となりました。また、2022年には組合と双日の共催運動会である「双日フェスティバル」を開催し、GRITzさんによるeスポーツ大会も行いました。
ファミリーデーはコロナ禍の影響で7年ぶりの開催となってしまいましたが、今後はリソースが整っていれば、理想はファミリーデーや運動会のような大型イベントを2年に1回行っていきたいです。
イベントや企画は「オール双日」をキーワードに展開
――ファミリーデーを行うコンセプトや狙いを教えてください。
脇田 コンセプトは「社員のご家族を会社にお招きし、ファミリーで参加していただくことで双日という企業をより知ってもらう」というものです。ご家族の皆様も双日のステークホルダーであるという考えが根本にあります。
会場での催しは、「オール双日」をキーワードに企画を練っていきました。たとえば今回はマグロの解体ショーを実施しましたが、それは双日が長崎でマグロの養殖に取り組んでいるからです。
双日が養殖するマグロを解体し、堪能していただくところまでを含めて、食についてどのような事業を行っているかを知っていただくのが狙いです。
また、同じ狙いで双日インフィニティさん等の小売商品を取り扱いグループ会社にも物販として出店をして頂きました。 逆に、双日に関係がないものは一切取り扱いませんでした。それは双日を深く知っていただく材料にはならないからです。
――今回は双日の創立20周年を祝うイベントの一環として、会社と組合の共催で行われたともうかがいました。
脇田 他社ですと、こういったファミリーデーは会社だけで開催するところも多いと聞きますが、私たちのファミリーデーにかける思いに共感していただけたので、労使共催となりました。そのおかげで、会社のファシリティを全面的に活用する形で行っています。
――来場者数はどの程度の規模だったのでしょうか。
脇田 午前と午後の部を合わせて600名ほどにお越しいただきました。特に、午前の部が盛況でしたね。
プロのゲームキャスターを招いて盛り上がったeスポーツ大会
――eスポーツへの取り組みを教えてください。ファミリーデーで行われたeスポーツイベントは2回目の開催で、初のイベント開催は2022年6月に行われた「双日フェスティバル」においてでした。
脇田 GRITzさんの設立が2022年1月でしたので、当時の私たちにとってのeスポーツは「会社が取り組み始めたばかりの新規事業」でした。1回目のeスポーツイベントは、そのことを社員とご家族の皆様に知っていただくことが狙いです。
カジュアルなレーシングゲームを採用し、フェスティバルのコンセプトが運動会であることから、本部ごとにチーム分けしての対抗戦にしました。オンライン対戦も活用し、当日は海外ではブラジルやシンガポール、国内では福岡や千葉から参加してくれた社員もいました。
ゲームはお子様にも親しまれやすく、よい取り組みになりました。社員同士のチームビルディングはもちろん、社員とご家族間でのファミリービルディングの一環にもなったと認識しています。
――では、ファミリーデーでの第2回開催についても教えてください。
内田 今回はリズムゲーム、パズルゲーム、サッカーゲームの3タイトルを展開し、どなたでも自由に楽しんでいただけるようにしました。
メインイベントはサッカーゲームのトーナメントで、午前と午後の部それぞれで優勝チームを決める形で行いました。幅広い年齢の方に参加していただくことができ、最年少は6歳、最年長は50代の方でした。
また、プロのゲームキャスターをお招きして実況していただきましたので、本当にサッカーの試合を見ているかのような臨場感を味わっていただけたと思います。
脇田 イベント開催に向けた機材の打ち合わせがライブ会場のセッティングのようでとても新鮮でした。私が組合専従着任前に従事していた自動車の営業とは大きく異なる業態で、これが総合商社なのだとあらためて感じましたね。
――トーナメントは午前・午後ともに4チームずつの参加で、時間はそれぞれ45分くらいずつだったとうかがっています。当日はどのような流れだったのでしょうか。
内田 予選は小さめのモニターを使って2組同時に行い、決勝戦は会議室の大型スクリーンを使って実施しました。
(ゲーム機以外に)使用した機材は会議室のモニター、椅子、テーブルなどで、社内で日常的に使用されているものを活用しています。
――チームメイトとの交代はどのように行ったのでしょう。
内田 試合中に好きなタイミングでコントローラーを渡して選手交代する、という形を取りました。午後の部の決勝戦は、レッドカードが2枚出て11人対9人の試合になりつつも0対0で拮抗していましたが、試合終了間際に11人そろっているチームが決勝点を決めて、ギャラリーの皆さんから歓声と拍手が上がりました。すごい一体感でしたね(笑)。
事前の打ち合わせ・準備から当日の進行までGRITzさんにしっかり運用していただいたので、最後までとてもスムーズだったと思います。
eスポーツはチーム・ビルディングやファミリー・ビルディングを促進する力がある
――双日が社内向けeスポーツイベントを実施したことに対し、社内外からの反響はありましたか。
内田 社員や組合員からは「グループ内にGRITzが存在しているにも関わらず、eスポーツの大会を実際に見たことがない」という声がありましたので、今回のファミリーデーで社内開催したことでeスポーツの大会がどのようなものかを認識できた人は多いと思います。
また、他の労働組合との対話でも「グループ内でeスポーツの企画も行っているんですよね」という話をする機会が結構あり、社外からも興味を持っていただいている印象があります。
――最後に、イベントを通じてeスポーツにどのような可能性を感じたか教えてください。
脇田 ゲームという誰もが手に取りやすいものを通してチームビルディング、ファミリービルディングのきっかけを提供できるのは大きな魅力だと感じました。
「社員や組合員同士の繋がりを強める」という労組の普遍的なニーズを満たす手段のひとつとしても、期待されていると感じています。
内田 トーナメント決勝戦の盛り上がりや会場の一体感を通じて、「eスポーツ」が「スポーツ」として成り立っていることを実感しました。コロナ禍によるリモートワークの普及で社員同士の繋がりが薄くなったと言われている昨今、社員の団結を強めるのにうってつけの方法だと思います。
内田 私たち双日労働組合は会社・業界の垣根を越えた繋がりを作っていくことで、組合員の視野をさらに広げていきたいと考えています。社内向けeスポーツイベントの話を聞いてみたい、eスポーツイベント以外でも何かしらのイベントを一緒に企画したい、など、越境交流にご興味がある労働組合の方がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽にご連絡いただければと思います。
――ありがとうございました!
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